ラノベ感想

「人狼への転生、魔王の副官 1 魔都の誕生」感想

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表紙は麗しのアイリア様と狼形態のヴァイトくんです。

あらすじ

公式より

魔王軍第三師団の副師団長ヴァイト――それが、人狼に転生した俺の今の姿だ。 そんな俺は交易都市リューンハイトの支配と防衛を任されたのだが、魔族と人間……種族が違えば文化や考え方も異なるわけで、街ひとつを統治するにも苦労が絶えない。 俺は元人間の現魔族だし、両者の言い分はよくわかる。 だからこそ平和的に事を進めたいのだが……。やたらと暴力で訴えがちな魔族たちを従え、文句の多い人間たちも何とかして、今日も魔王軍の中堅幹部として頑張ります!

見どころ

完結しているにも関わらず、近場のリアル書店で平積みされていて、売り場面積もかなり割かれていたため、面白いのかなぁと思い、Web版を読み始めてどハマりした作品です。せっかくだから書籍版で読んでみようと思い、読み直しています。

初版は2015年の11月なので、もう3年前の作品ですが、異世界転生ものが溢れかえる昨今の作品はひねりが効いたものが増えてきている気がしますが、この作品は異世界転生ものの王道を歩んでいる作品といえます。逆に新鮮な感じがします。

主人公のヴァイトくんは人狼ながらも前世の日本人としての記憶が残っており、その記憶を元に、人類の皆さまと交渉してなるべく良い関係を構築すべく日々頑張っています。

主人公の人物がよくできている(悪くいうとお花畑的な)ので、凄惨なシーンもありますが、全体的にあまり殺伐とした物語ではありません。安心してお話を読み進めていけます。

主題となるのは異文化コミュニケーション

この作品の主題となるのはなんといっても魔族と人間の異文化コミュニケーションです。主人公ヴァイトは転生前の記憶を生かして人間と魔族の間を取り持つように行動していきます。

ただ、この作品で出てくる魔族も相当人間臭い気はします。現代の人類の生活する国の違いに起因する文化の差くらいしかない気がしますが、それでも登場人物は人間も魔族も色々な葛藤を乗り越えてお話を進めていきます。

主人公ヴァイトが人狼という二面性を持つ種族というのがとても効果的に物語に効いています。設定の勝利のお手本みたいな作品です。

理想的な上司の魔王さま

中盤以降の登場となりますが、魔王さまたるフリーデンリヒター様がいい上司です。

挿絵の通り、魔王というともっとおどろおどろしいとか、荒ぶるものを想像しがちなのですが、この世界の魔王さまはなかなかに苦労人な上、理路整然とした合理主義者であることがわかっていきます。

そして、魔王さまには秘密があり、物語の進行が進むにつれて、秘密が明かされていきます。この秘密の明かされ方が本当に秀逸です。読み手が納得するような展開でだんだんと秘密が露わになってくるのと美しい描写が相まって、とても印象的でした。

人狼の皆さまと愉快な仲間たち

この作品も当然ながら沢山の登場人物が出てきます。関東に人物紹介が欲しいくらいですが、それぞれのキャラクターが立っていて、結構すんなりと覚えられました。

人間のほか、人狼の皆様、兄弟弟子と沢山の人たちが出てきますが、なかなかにキャラ付けと描写がうまく、とても読みやすいです。

現実主義者の人間の太守「アイリア」様。この作品のヒロインの一人です。いろんな意味でかなり漢らしいです。

奥のじいさんが一癖ありそうな輝陽教の司教の「ユヒト」どの。手前のイケメンが主人公のヴァイトくんです。

師匠「モヴィちゃん」と兄(姉)弟子の吸血鬼「メレーネ」様、妹弟子のケンタウルス「フィルニール」みんなそれぞれに見せ場が用意されていて、印象に残るようになっています。

所々に差し込まれる他の登場人物の述懐

この物語は基本的にはヴァイトの一人称視点で物語が進んでいきますが、所々にほかの登場人物の述懐があります。これらの述懐は直接主人公のヴァイトに語られることはありませんが、それがいい感じに物語を客観的に浮き立たせています。

主人公が自分の行為に無自覚なのがよくわかります。

まとめ

少し古い作品ですが、異世界転生のファンタジーものが好きな方でこの作品を知らない人は是非ともご一読していただきたい作品です。Munacky は Web 版を一気読みしてしまいましたが、それでも新たな気持ちで楽しく書籍版を呼んています。

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