近所の本屋で手にとって見つけた本が面白かったので、少し紹介です。
アマゾンのレビューでは微妙な評価で、読む人を選ぶようです。自分はハマりました。
この本はサイクルジャーナリストの吉本さんと元シマノの開発者田中さんの共著になっています。全部で5章立てになっており、1章と5章が吉本さん、3章〜5章が田中さんの執筆になります。
人によって異なるかもしれませんが、自分のこの本の見所は3章から5章の田中さんの記事です。ホイールの開発者がどのようなことを意識してどのようにホイールを設計しているのかを詳しく解説しています。田中さんの記事は技術者らしく、事実と自分の意見をはっきりと分けて記事にしており、エビデンスのないことについてはわからないときっちり書かれていて、とても読みやすく書かれています。
ホイールを構成するハブ、スポーク、リムの役割と現在、主流になっている技術の課題や分析などをホイールの製造工程を絡めつつまとめた本は今までありませんでした。(まあ、需要がなかったということはあるかも…)
自転車、特にロードバイクにとってお金のかけどころではあるのですが、一度買ってしまうとなかなか金額的に買い替えができないパーツであります。
いくつか目から鱗が落ちたトピックを紹介します。
- 金銭事情がゆるせば、アルミを選ぶ理由はない
- カーボンホイールの体重制限は強度の問題よりブレーキングの熱が原因
- ベアリングのグレードは走りに影響しない
- アルミスポークの意味はない
サイクルジャーナリストの吉本さんの記事はホイールの歴史と今後の技術の方向性がまとまっていて、一読の価値があります。
ただ、惜しむらくはせっかく二人の共著なのに二人の絡みが全然なく、二人の記事のギャップが感じられることです。どこかの章の間にこの二人の対談などが入っていたらもっとステキな本になってたと思います。
1800円とお高めですが、ロードバイクの機材に興味が向く人は新しい発見がたくさん見つかる一冊です。