表紙は多聞院のフミノさんとその上司トキタカさんです。ミニスカ巫女さんの破壊力凄いなぁ。
あらすじ
公式より
ロルムンドから戻ったヴァイトは、ある日前世の日本で見たことのあるような巫女服を纏ったワの国の使者フミノと出会う。どうやら彼女は“神世人”と呼ばれる転生者かそれに類する存在を捜しており、ヴァイトが何者なのか秘密裏に探っているようだ。
お互いに本当のことを隠しつつも、国家間の交易のためにミラルディア代表としてフミノとともにワの国へと渡ったヴァイト。
ついにヴァイトの転生の理由が明かされる――!?
みどころ
今回は東の果ての「ワの国」を舞台にしてお話が進んでいきます。その名の通り「ワの国」は文化的にはだいぶん日本に近いこともあり、ヴァイトくんの琴線に触れまくりです。
あらすじにもある通り、「ワの国」の人は転生者についての情報も持っているようで、ヴァイトくんについてそれとなく嗅ぎつけてきます。まあ、嗅ぐのは人狼のほうが得意そうですが。
とはいえ、起源をともにするヴァイトくんとワの国、意図せずにヴァイトくんの自分探しの旅が始まってしまいます。
ヴァイトくんの自分探しの旅
「人狼への転生、魔王の副官」シリーズは色々な国々を舞台にしてお話が進んできましたが、7巻以前に関してはその国の地理とか風習を中心に客観的に描写されてきたのですが、8巻ではちょっと趣が異なります。
と、いうのも8巻の舞台になる「ワの国」は日本が起源となる国のため、この国を見て回るたびにヴァイトくんの前世の心象風景と嫌でも向き合うことになります。過去の心象風景と向き合って、転生後のヴァイトくんの今世と過去の人生とのせめぎ合いを通じてヴァイトくんに変化があらわれてきます。ヴァイトくんはうまい具合に過去の自分と今の自分に折り合いをつけていけるのでしょうか?
そして、麗しのアイリアさまとの間に進展はあるのでしょうか?まあ、ぶっちゃけ読者的には「オマエら、早く結婚してしまえー」以外の感想は抱きようがないんですけどw
多聞院の皆様方
新しい主要キャラクターとして、ワの国の諜報機関である、多聞院。そしてその諜報員のフミノさんと上司のトキタカさんが登場します。
フミノさんがいい感じです。隙だらけのポンコツ諜報員を装いながらも、それが実は演技という抜け目ない方です。と、言いつつどこまでが演技で、どこからがポンコツかわからないあたり、とても魅力的なキャラクターとなっています。見せ場もふんだんに用意されており、「フミノさんええのう。」となること間違いなしです。
一方でトキタカさんは有能な上司というところでしょうか?なかなかにトキタカさんの底が見えません。
時代劇的な演出
舞台が「ワの国」だけあって、色々な立ち回りの展開が時代劇的で読みながらニヤニヤしてしまいました。台詞回しとか展開などは時代劇のそれをかなり踏襲していて、金琴堂の討ち入りの様子などニヤニヤせずには入られません。
まあ、挿絵だけ見るとあんまり時代劇っぽくないんですけどね。
必読の読み切り
今回の読み切りは3本立てなのですが、いずれも8巻と9巻の間を埋める物語であるため、読み切りの割に外伝的な感じではなく、本編の続きエピソードとなっています。
前半の2本がヴァイトくんと魔王モヴィちゃんの冒険譚。後半の1本が人狼のモンザさんと麗しのアイリアさまの日常イベントという、なんというご褒美でしょうか。
Web版では語られなかったエピソードで満足度高いです。書籍版の書き下ろしはかくあるべしといっても言い過ぎではありません。
Munacky はヴァイトくんとアイリアさまを応援しています。