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「鮫島、最後の十五日 19巻」感想

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あと、一冊で終わってしまうと思うと、それだけで涙が止まりません。

あらすじ

熱き力士の冷酷な一場所、十五日間の記録と記憶。好敵手・王虎を真っ向からの力勝負で制した鮫島。満身創痍の鮫島を周囲が心配している最中、空流部屋に突然、女性が現れ…。そして十三日目、虎城部屋のもう一人の虎、猛虎との取組を迎える……。

見どころ

先日お亡くなりになった佐藤タカヒロ先生の最後の2巻となりました。

「鮫島、最後の十五日」は相撲を取っている時の描写がすごいのはもちろんなのですが、試合前に対戦力士との因縁やエピソードをじっくりと丹念に描くことによってお話に深みを持たせている形式になっています。

19巻もそれを踏襲する形になっており、今回の対戦相手の大関猛虎にスポットを当てつつ、鯉太郎の周りの人間模様を描いていきます。

猛虎関という男

猛虎といえば「バチバチ」の1巻の一番最初に学生の頃の鮫島と巡業先で相撲を取った因縁の相手です。

当時は幕下ながら、素人の鮫島と相撲を取って負けてしまいます。

そのときの敗北が猛虎関を相撲の鬼にさせてきました。そのあたりの話はバチバチやバチバチ BURST に詳しいです。
さあ、バチバチとバチバチ BURSTを読むのです。

虎城親方の株が上昇中

「バチバチ」の頃の虎城親方は嫌な役回りでした。「バチバチBurst」辺りからこのおっさん、結構いいやつじゃね?と風向きが変わってきて、「鮫島、最後の十五日」では完全にいい人になっています。

まるで、美味しんぼの海原雄山かよ、と思うほど人格が変わっています。

こちらが悪い虎城親方

こちらが綺麗な虎城親方。「きこりの泉」の綺麗なジャイアンもびっくりです。

虎城親方といえば、長嶋茂雄もかくや、という感じで、相撲の説明が謎です。例えば、実況のアナウンサーと解説の虎城親方の以下のやりとりに出てきます。

「おお…大横綱虎城の相撲…それは具体的に言いますと…」

「ピンと空間を把握し ピッと距離を掌握し 土俵を意識化で フッーっと捉えることですな…」

しかし、この巻ではこういう謎な説明にもちゃんと伝えたい意図があって行われているということが示唆されています。
そして、それを理解しようと努力する猛虎関。熱いよ。熱すぎる。

現横綱の泡影が化け物じみていますが、虎城親方も一流の横綱です。

いよいよ立会い、そして、激闘は次号最終巻に続く

19巻では立会いが本当にすごい描写で、本当に読んでいて涙が出てきます。

瞬間

鮫島から

全部が解き放たれる

ソレが暴風雨のように

場内を激しく巻き込み収縮し

一個の巨大な塊と化す

バチバチ、バチバチ BURST、鮫島、最後の15日とそこそこ長めのシリーズですが、ぜひお手にとってください。
あと、1冊。あと、1冊で完結です。

Munackyは佐藤タカヒロ先生のご冥福をお祈りしています。

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