公式より
若くして日本最大の暴力団・山口組に身を投じ、経済ヤクザとして台頭。直系組織の最高幹部にまで登りつめた猫組長の主戦場は、海外だった。
国際金融、マネーロンダリング、麻薬ビジネス、果ては人身売買までーー海を渡った猫組長が見た世界では、想像を絶する額の札束が飛び交い、富豪たちは贅の限りを尽くし、ワールドクラスの詐欺師たちは幾重の策を練る。およそ新聞やテレビでは報じられないこの世界の真実が本書には赤裸々に収められており、その残酷さ、生々しさ、滑稽さはあなたの想像をはるかに超えるはずだ。
週刊SPA! 誌上で始まった「ネコノミクス宣言」を大幅に加筆・修正、連載開始から2年の時を経て単行本として出版されることとなった渾身の意欲作。相方を務める漫画家・西原理恵子氏による描きおろし漫画も収録、300ページ近いボリュームでお届けする。
みどころ
私は猫組長を Togetter でまとめられているので始めて知って、真偽不明にしても興味深いツイートに引き込まれてすっかりファンになっていました。
猫組長とサイバラ先生の共著となっていますが、サイバラ先生が出てくるのは冒頭の書き下ろし部分がメインで、それ以外は猫組長の連載の掲載になっています。
しかしながら、その書き下ろし部分が本当に面白い。ページ数としては全体の5%程度なのですが、とにかくサイバラ先生と猫組長の掛け合いが面白いです。西原節全開で「こんなこと、聞いちゃって大丈夫なの?」というぶっちゃけ質問に猫組長が丁寧になおかつスマートに回答してくれています。
猫組長の経歴や人柄がとてもよくわかる導入になっており、この書き下ろしがあるのと無いのではこの後の連載部分の掲載から受ける印象がかなり違ったものになったと感じます。
反社会勢力と仮想通貨
一般人から見ると仮想通貨などはブロックチェーンなどの技術を使って国家の財政の裏付けのないものに価値を見出して、みんなでお金を出し合うような意外と良い印象があったのですが、ヤクザ屋さんの目から見ると、マネーロンダリングの楽園に見えてしまうというのが目から鱗でした。
そりゃ、その筋の人々からすれば一般の参加者なんてカモがネギを背負ってやってくるようなもんだよなぁ。
実録部分の凄み
2章、3章を中心に実際に起こった金融事件や詐欺事件を紹介して、色々な手口を説明しています。なかなかに人の心理を巧みについた手口が多くて、こりゃ、いつ騙されてもおかしくないなぁとか思いながら読んでました。
金融事件とか、大規模な詐欺事件とか詳しい人にとってはすでに既知の話が多かったりするのかもしれませんが、自分にとってはとても新鮮でした。
人身売買とか臓器売買とか
猫組長は世界中を渡り歩いてヤクザの資金を調達してきた方であって、色々と世界のアンダーグラウンドに通じています。あんまり気の利いたことが言えないのですが、なかなかに今でも世界の一部で行われている人身売買のお話や臓器の売買のお話は読んでいて辛くなります。
移植が必要な患者の命は自国で救う努力をすべきという背景で制定された「イスタンブール宣言」が逆に臓器移植ビジネスをアングラで活性化させたりして、善意で設計された制度が裏目に出てしまうなど、あるあるな話ではあります。そして、フランスが危ないというのが意外でした。
この辺りの記事を読むと本当に貧困と無知は罪だなと改めて思います。
あとがきより
自分はブログ初心者なのですが、あとがきの以下の文にしびれました。
書いたものが面白いかどうかは読者が判断することだ 。だから 、独りよがりな日記にならないように気をつけている 。コラムを書くという作業は 、経験と知識に基づく情報の整理だ 。それは知的なトレ ーニングでもあり 、思い出を辿る作業でもある 。
ブログを本格的に書き始めてまだ4ヶ月ですが、物を書いて人に伝えるということのむずかしさが最近ようやく理解できるようになってきました。なるべく、良質な記事をみなさまに届けていけるように頑張ります。