ラノベ感想

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 6 case.アトラスの契約(上)

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いきなり、6巻の感想から始まるのはご容赦ください

あらすじ

公式より

ついに、物語は『彼女』の故郷に至る。半年前、ライネスとロード・エルメロイII世は、第五次聖杯戦争で勝利する手がかりを得るため、とある辺境の墓地を訪ねていた。だが、一見平凡な墓地と村には奇妙な掟(ルール)と謎が秘められており、そこで遭遇した事件と人々が、後々までふたりを縛り付けることとなったのだ。黒い聖母。ブラックモアの名を継ぐ一族。灰色のフードで顔を隠した、寡黙な墓守の少女。そして、時計塔と並び称される魔術協会のひとつ――アトラス院の院長が姿を現したとき、事件は真に変転する。

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ロード・エルメロイⅡ世の事件簿とは

「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」はその名の通り、ロード・エルメロイⅡ世がいろんな事件を解決して行く推理小説です。(多分)

多分と書いたのは、人によって「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」のを色々な受け止め方ができるからです。推理小説なのか、冒険小説なのか、伝奇小説なのかその捉え方は読者によって多種多様です。

その原因はこの作品が TYPEーMOON世界、つまり魔術とか英霊とか吸血鬼が跋扈している、なんでもありの世界を舞台にしているからです。トリックも何も魔術で全部解決してしまうような世界で真っ当な推理などできるのでしょうか?と心配になるのは無理もありません。

主人公であるロード・エルメロイⅡ世も事件を解決する際に魔術師を相手にした場合は Who done it(だれがやったか) と How done it(どのようにやったか)を問う意味がない。と断言し、Why done it(なぜやったか)に注目して事件を解決していきます。

個人的には、推理小説として成立していると思うのですが、正統派の推理小説読みからすると色々と言いたいことがあるようです。

自分はぶっちゃけこの作品が推理小説なのかどうか、定義はどうでもよくって、とにかく手に汗握る展開と事件を紐解いて行くロジックの格好良さに惚れています。

ロード・エルメロイⅡ世とは

公式にもあるように ロード・エルメロイ Ⅱ世は Fate Zero に登場したウェイバー・ベルベット君の成長した姿です。なぜ、エルメロイⅡ世を名乗っているのかについては作品内で語られているので、是非とも呼んでください。

右側の不機嫌そうな男性がロード・エルメロイⅡ世、左の少女は妹のライネスさんです。

Fate Zero での体験が主人公の行動の源泉になっているため、この作品を読むにあたっては最低限 Fate Zero は押さえておく必要があります。媒体は問わず、ストーリーを押さえておけば十分です。

魔術の才能はないながらも、常人離れした研鑽の成果なのか、知識と洞察力で難事件をなんとか解決していきます。判官贔屓とは若干異なるのですが、自分はこういう才能に恵まれない主人公が知恵と努力で活躍するお話が大好きです。

変わる視点

6巻は一章、二章が妹のライネスの視点、三章、四章がグレイの視点で進んでいきます。6巻だけでなく、この作品は章が変わると地の文の一人称が変わることが多々あるので、常に地の文が誰なのかを意識して読む必要があります。

グレイはこのお話のキーになる少女です。ぱっと見セイバーに似ていますが、その理由については本編で書かれています。ぜひ、読んでください。

みどころ

5巻までは比較的そのシリーズでお話が完結していたのですが、6巻では過去のエピソードが多々参照されています。

一章、二章はグレイの過去の話です。ライネスさんの視点で、過去にどのような因縁があったのか明らかになります。エルメロイさんとライネスさんの二人旅です。羨ましい。ライネスさんの意外とお茶目な側面を堪能できつつ、グレイとの初対面の描写もいい感じです。そして、この作品のお約束のチープな地図の時間です。

ここだけ取り出すとダメダメな感じですが、このチープな地図が楽しめるかどうかはこの作品を楽しめるかどうかに直結している気がします。

そして、三章、四章は現代に戻り、グレイの視点で話が進んでいきます。所々にはいる、スヴィン君とフラット君がいい感じに清涼剤になっていますが、早々に二人は退場して、グレイとエルメロイさんで話が進んでいきます。あー、退場といっても死ぬわけではないのでご安心を。

前半と後半で視点は違いますが、6巻については「いったい、グレイは何物?」という視点で物語が進んでいきます。

そして、最後についにアッドの正体が判明します。まさか、アッドがあの…だったとは。びっくりです。さあ、6巻を読んでびっくりするのです。そして、そこで次号へ続くという、生殺し状態を味わうのです。早よ続きを!

Munacky は三田先生を応援しています。

余談、TYPEーMOON Books の特殊性

この本は TYPEーMOON Books から出版されています。このレーベルの特殊なところは何と同人誌であることです。装丁はしっかりしており、奥付を読むと印刷も凸版印刷なのですが、普通の本には必ず割り当てられている ISBN コードがありません。流通も普通の書店ではなく、通販かとらのあななどの同人誌専門店で買うことができます。

奥付の写真

最近は電子出版もしているようです。通常、2次創作ものは権利関係がグレーなため、電子書籍の流通には乗らないのですが、TYPEーMOON Books は同人といっても、1次創作の本家だけあって、電子書籍もリリースしています。(ただし、本作品はまだ電子化されていないようです。)

まあ、ある程度売れるのがわかって入れば、こう言うやり方の方がクリエイターには還元されるんだろうなと思います。こういうビジネスモデルでどこまでやれるのかも注目しています。

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