怪盗アルセーヌ・ルパンをご存知ですか?
今や、孫の方が有名になってしまった感のあるフランスの怪盗紳士ですが、いま、アバンチュリエを連載していた森田崇先生がルパン帝国再誕計画を立ち上げています。
アバンチュリエはもともとイブニングで連載しておりましたが、掲載誌を変えつつ、ルパンの登場から年表順に奇岩城まで描き切りました。
ルパンとの出逢い
自分がルパンと出会ったのは小学校三年生のころの学級文庫でポプラ社のルパン全集でした。南洋一郎先生の翻訳で、当時はかなり分厚く感じられました。
南先生の翻訳のおかげで当時の児童文学としてはルパンは江戸川乱歩の怪盗二十面相と並んで読書少年、少女の中でダークヒーローとしての位置付けを確固たるものにしたと言えます。
ちなみに、シャーロックホームズと出会う前にルパンを読み始めてしまったので、自分の中ではシャーロックホームズはルパンのライバルという位置付けです。
さらに、余談になりますが、ルパンの原作者のルブランはシャーロックホームズの出版側からのクレームを受け、 Sherlock Holmes をそのまま使うのではなく、Herlock Sholmes として登場させています。しかし、南先生の翻訳ではわかりやすさを優先させて、そのものズバリ、シャーロックホームズとして登場させています。いい時代でした。
すみません、本題に戻ります。
南先生のルパン像の問題点
ルパンファンの間では有名な話ですが、南先生の翻訳は児童向けに出版するにあたって、キワドイ描写などをカットしたり、ページ数を削減するために少々エピソードを削るなどしています。
個人的には安心して子供に読ませられるので良いと思いますが、熱心なルパンファンからは健全すぎるルパンとして若干残念な扱いをされています。
あと、ポプラのルパン全集では年表順に書かれているわけではないため、1巻から順番に読むといきなり奇岩城から始まってしまうため、若干戸惑うような構成になっています。
アバンチュリエのルパンの魅力
アバンチュリエのあとがきで作者の森田先生が怪盗としての危ないルパンをクローズアップして、その魅力を最大限に引き出したいと書いてある通り、ルパンがかなり危険人物として書かれています。
稀代の大怪盗、しかしながら危うい側面を持つ若者としてとても魅力的にルパンが描写されています。悪者なんだけど、とても魅力的。
アバンチュリエの変遷と受難
アバンチュリエはイブニングで連載が始まりましたが、イブニングのメジャー路線の転向を機に、連載が終わります。その後、作者の森田先生が色々と尽力されて、ヒーローズで連載していましたが、奇岩城を終えて、連載が終わっています。
個人的にはとても面白いと思っているのですが、あまり商業的には盛り上がらなかったようです。
ルパン帝国再誕計画
通常であれば、もはやこれまでというところですが、森田先生は自力でルパンを続けて行く決心をされました。それがルパン帝国再誕計画です。詳しくは森田先生のツイッターや本家のサイト、ツイッターをみてください。
この度『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』漫画家森田崇を中心に、現在静かなブームである怪盗アルセーヌ・ルパンのムーブメントを盛り上げるべく活動を行う団体「エギーユ・クルーズ」を発足しました。
一連のプロジェクトを「ルパン帝国再誕計画」と位置づけ、セールスプロモートを行っていく予定です。 pic.twitter.com/ArkPhGuQeU— 森田崇@ルパン帝国再誕計画 (@TAK_MORITA) 2018年2月15日
再誕計画最初の大仕事、「アバンチュリエ」著者再編集版PVを公開いたしました。お楽しみいただければ幸いです。https://t.co/0zz8QnfMs8
— ルパン帝国再誕計画 (@re_lupin_empire) 2018年2月11日
アバンチュリエを読もう
もはやエゴですが、自分は森田先生が描くルパンを最後まで読んでみたい。そのためにはアバンチュリエが商業的に成功するために、色々な人に読んで、お金を落としてもらいたいと思っています。
最近、発売になった著者再編集版が売れるのが一番応援になるとのこと。
古くからの古典を漫画化した作品はいくつもありますが、その中でも完成度が高いものは横山先生の「三国志」や大和先生の「あさきゆめみし」などがあります。アバンチュリエをこれらの作品と並べるのはおこがましいかもしれませんが、森田先生が今のスタンスでルパンを描ききったら、歴史に残る作品になると確信しています。
みんな、アバンチュリエを読んでください!